ベートーベン:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調「ラズモフスキー3番」Op.59-3
ブッシュ弦楽四重奏団 1933年11月10日&16日録音
Beethoven:String Quartet No.9 in C major Op.59-3 "Razumovsky No.3" [1.Introduzione. Andante con moto - Allegro vivace]
Beethoven:String Quartet No.9 in C major Op.59-3 "Razumovsky No.3" [2.Andante con moto quasi Allegretto]
Beethoven:String Quartet No.9 in C major Op.59-3 "Razumovsky No.3" [3.Menuetto. Grazioso - Trio]
Beethoven:String Quartet No.9 in C major Op.59-3 "Razumovsky No.3" [4.Allegro molto]
明るく力強い第3番

作品番号が59の弦楽四重奏曲は3曲あり、ラズモフスキーセットと呼ばれています。傑作の森と言われるベートーベンの中期を代表する作品で、ウィーン駐在のロシア大使であったラズモフスキー伯爵に献呈されたためにこの名前を持ちます。
ベートーベンは初期の弦楽四重奏曲を作品番号18としてまとめていますが、このラズモフスキーセットはそれら初期作品とは全く異なったたたずまいを見せています。これは実際に聞いてみればすぐに了解できることですが、とりわけ音色の多彩さにはすぐに気づかされます。当然その様にパレットの色彩が豊富になると言うことはそれだけ演奏も困難になると言うことです。
また、そういう外面的なことだけでなく、内容面でも主題の展開がベートーベンらしい手の込んだものとなり、全体の構造も一段と複雑なものになっています。
言ってみれば、初期作品がサロンでの演奏会用作品とすれば、これは疑いもなくプロの演奏家によるコンサートプログラムだといえます。
さらに、このラズモフスキーセットがベートーベンらしいのは、3曲がそれぞれ全く異なった雰囲気を持つことです。
何よりも雄大な雰囲気の1番、唯一の短調作品であり内省的な2番、そして明るく力強いこの3番と言う具合です。とりわけ、この第3番の最終楽章は中期のベートーベンを代表するに相応しいフーガの技法を駆使した壮麗で精力間あふれる音楽となっています。
武骨な演奏ですが・・・
もう忘れ去られようとしている録音かもしれませんが、ドイツの伝統的なベートーベン演奏を知るうえでは貴重な録音だといえます。ただ、このドイツ的伝統というのを具体的に言葉で説明をするのはちょっと難しいのですが、ユング君なりに解釈すれば「武骨」差の中からにじみ出る「ロマンティックな感性」だと言えましょうか。
昨今のハイテクカルテットを聞きあきた耳にはかえって新鮮に聞こえるかもしれません。
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