チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
P:ホロヴィッツ セル指揮 ニューヨークフィル 1953年1月12日録音
Tchaikovsky:ピアノ協奏曲第1番「第1楽章」
Tchaikovsky:ピアノ協奏曲第1番「第2楽章」
Tchaikovsky:ピアノ協奏曲第1番「第3楽章」
ピアノ協奏曲の代名詞
ピアノ協奏曲の代名詞とも言える作品です。
おそらく、クラシック音楽などには全く興味のない人でもこの冒頭のメロディは知っているでしょう。普通の人が「ピアノ協奏曲」と聞いてイメージするのは、おそらくはこのチャイコフスキーかグリーグ、そしてベートーベンの皇帝あたりでしょうか。
それほどの有名曲でありながら、その生い立ちはよく知られているように不幸なものでした。
1874年、チャイコフスキーが自信を持って書き上げたこの作品をモスクワ音楽院初代校長であり、偉大なピアニストでもあったニコライ・ルービンシュタインに捧げようとしました。
ところがルービンシュタインは、「まったく無価値で、訂正不可能なほど拙劣な作品」と評価されてしまいます。深く尊敬していた先輩からの言葉だっただけに、この出来事はチャイコフスキーの心を深く傷つけました。
ヴァイオリン協奏曲と言い、このピアノ協奏曲と言い、実に不幸な作品です。
しかし、彼はこの作品をドイツの名指揮者ハンス・フォン・ビューローに捧げることを決心します。ビューローもこの曲を高く評価し、1875年10月にボストンで初演を行い大成功をおさめます。
この大成功の模様は電報ですぐさまチャイコフキーに伝えられ、それをきっかけとしてロシアでも急速に普及していきました。
第1楽章冒頭の長大な序奏部分が有名ですが、ロシア的叙情に溢れた第2楽章、激しい力感に溢れたロンド形式の第3楽章と聴き所満載の作品です。
「とんでもない演奏」の代表?
一部では「とんでもない演奏」の代表みたいに言われる録音ですが、聞いてみるとそれほど異常ではありません。
ホロヴィッツにとってこの作品は彼がアメリカデビューを飾る上で大きな役割を果たしたものです。とりわけ最終楽章を確信犯としてものすごいスピードでひききってオケを置いてきぼりにしました。
そして、そうすることで己のテクニックを誇示しアメリカでのデビューを華々しく飾ったのです。
そう言う前科(?)から言えばずいぶんまともな部類にはいるように思います。
とは言っても、まったく崩れを見せずに強靱な音を積み重ねてホロヴィッツの凄さには脱帽です。
とりわけ最終楽章でカデンツァに突入していくところは鳥肌ものです。
よせられたコメント
2009-01-31:T.H
- 何、早すぎ!(最悪!!!)
コメントにもある様に全てホロヴィッツの確信犯なのですね?
私はセルの正確な演奏が大好きなので、ピアニストとして有名なホロヴィッツとの演奏を楽しみに聴いてみましたが、期待はずれ。
演奏は早すぎるし、正確性もいまいちです。
早く弾けば良いわけではないでしょうに!
2010-02-08:メフィスト
- トスカニーニとの演奏は・・・さすがのホロヴィッツも遠慮していたということでしょうかねw
2010-09-14:nako
- 組み合わせからして楽しすぎ!
こちらで初めてセルさまという方を知り、その端正な演奏ぶりに惹かれていましたが・・・でも、こういうのもまた良きかな、です(スミマセン(汗)
泣く子と指揮者には勝てない、なんて言葉をどこかで眼にした記憶がありますが、子供の方が指揮者より強いということでしょうか。オケのことなんかほとんどなあんにも考えずに本能の赴くままに弾いている(ようにしか聴こえない)ホロヴィッツさんを横目で見ながら、鬼のセルさまは何を考えていたのでしょうか?案外楽しんでたような気もするのですが。ものすごく興味があります。
2012-02-16:Lisadell
- (クラシック)音楽の精神性?そんなものは粗忽な文学性に過ぎません。
音楽はそれ自体が論理や哲学になりうる「天国への切符」じゃないでしょうか。
光り輝くものはすべて黄金であると愚かにも信じるように。
我々は「光り輝くもの」について数多く語ってきましたが、
それ自体を言葉では手にしてません。
その周りをグルグル回るばかりで。
強靭かつ繊細、そしてコントラビリティ。
なにをとってもこの時代のホロヴィッツは素晴らしい。
ハイフェッツ先生が素晴らしいのと同様に。
そしてここには確かに「光り輝くもの」があります。
2012-06-24:風見鶏
- 私の場合はトスカニーニ爺(敬愛を込めて)とのコンビがこの作品の決定的な印象になっているので、速度については特に違和感はありませんでした(こちらにも収録されている41年のです)。ただ、それ以外の点で比較すると、オケが美音すぎてミスマッチな感じも。それともホールの響き?
主に第一楽章の印象ですが、ソロではなく合奏の部分で、なんというか前の音の余韻の中に次の音が現れ滲む感じがします。爺との共演は砂漠を無理やり爆走→砂煙は派手だがカラッとしてるので歯切れがよくそれはそれでよし、セル版は同じ速度で美しい湖の湖面を無理やり滑走→どうしても砂漠の情景と比べるともたつき感が、という印象です(ってジェームズ・ボンドの水陸両用車かい)。やはりあと少しゆったり目の方が、このオケ・指揮者との相性は上がったのではないでしょうか。ソロのところはもう「ご存分に」ってかんじですが。
ピアノに関しては、この「限界に挑戦」的な態度は嫌いではありません。でも付き合わされる方は・・・(苦笑)3章のオケは「がんばりましたで賞」ものですね。それとも「お疲れさまでした賞」のがいいか。
2022-08-01:望月 岳志
- 1953年1月12日 ホロヴィッツのアメリカデビュー25周年記念(シルバージュビリー)の「ニューヨークフィルの年金基金コンサート」。カーネギーホールでのライブ録音。コンサート前半は、セル指揮ニューヨークフィルでチャイコフスキーの交響曲第4番が演奏されたそうですね(マイケル・チャーリー『ジョージ・セル 音楽の生涯』p.224)。
セルとニューヨークフィルの録音はBlue Sky Labelでも随分紹介されており、関係が深かったのだろうとは想像していましたが、前述の伝記を読み始め、オーストラリアからアメリカに渡って以来のその関係の深さに驚かされました。当時はミトロプーロスの次の音楽監督にセルがなるのではという噂もあったほどなんですね。
第3楽章でのホロヴィッツの奔馬のような演奏が「とんでも」界隈には格好のネタになったこともありましたが、全曲に渡って自由奔放に美音と超絶技巧を振りまくホロヴィッツと、オーケストラを、ピアノと対話させ、支え、競わせるセルの意外にも「ロマンチックな」演奏は、実に聴きごたえがあります。
そういえば、ホロヴィッツのデビュー50周年(ゴールデンジュビリー)1978年では、やはりニューヨークフィルで、指揮者はユージン・オーマンディ。ラフマニノフの3番でした。
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