ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
Vn.ハイフェッツ ジョージ・セル指揮 ニューヨークフィル 1951年12月9日録音
Brahms:ヴァイオリン協奏曲 第1楽章
Brahms:ヴァイオリン協奏曲 第2楽章
Brahms:ヴァイオリン協奏曲 第3楽章
ヴァイオリンを手にしてぼんやりと立っているほど、私が無趣味だと思うかね?
この言葉の前には「アダージョでオーボエが全曲で唯一の旋律を聴衆に聴かしているときに・・・」というのがくっつきます。
サラサーテの言葉です。(^^)
もっとも、その前にはさらに「ブラームスの協奏曲は素晴らしい音楽であることは認めるよ、しかし・・・」ということで上述の言葉が続きます。
おそらくこの言葉にこの作品の本質がすべて語られていると思います。
協奏曲と言う分野ではベートーベンが大きな金字塔をうち立てましたが、大勢はいわゆる「巨匠風協奏曲」と言われる作品が主流を占めていました。独奏楽器が主役となる聞かせどころの旋律あちこちに用意されていて、さらに名人芸を披露できるパッセージもふんだんに用意されているという作品です。
イタリアの作曲家、ヴィオッティの作品などは代表的なものです。
ただし、彼の22番の協奏曲はブラームスのお気に入りの作品であったそうです。親友であり、優れたヴァイオリニストであったヨアヒムと、一晩に二回も三回も演奏するほどの偏愛ぶりだったそうですから世の中わからんものです。
しかし、それでいながらブラームスが生み出した作品はヴィオッティのような巨匠風協奏曲ではなく、ベートーベンの偉大な金字塔をまっすぐに引き継いだものになっています。
その辺が不思議と言えば不思議ですが、しかし、ブラームスがヴィオッティのような作品を書くとも思えませんから、当然と言えば当然とも言えます。(変な日本語だ・・・^^;)
それから、この作品は数多くのカデンツァが作られていることでも有名です。一番よく使われるのは、創作の初期段階から深く関わり、さらに初演者として作品の普及にも尽力したヨアヒムのものです。
それ以外にも主なものだけでも挙げておくと、
レオポルド・アウアー
アドルフ・ブッシュ
フーゴー・ヘールマン
トール・アウリン
アンリ・マルトー
ヤッシャ・ハイフェッツ
ただし、秘密主義者のヴァイオリニストは自らのカデンツァを出版しなかったためにこれ以外にも数多くのカデンツァが作られたはずです。
この中で、一番テクニックが必要なのは想像がつくと思いますが、ハイフェッツのカデンツァだと言われています。
隙はないのにあまり面白くない、・・・何故か・・・(^^;
セル&ハイフェッツというある意味では大変なハイテクコンビによる演奏です。
とりわけハイフェッツのヴァイオリンは完璧です。でも、何故か面白くないのです。このことはあちこちに書いているので、ここでもまた同じ事を繰り返すのは気が引けるのですが、それでも、「何故かハイフェッツはこういう大作になると面白くない」と言わざるを得ません。
もちろん駄目な演奏でないことは明らかです。
ところが、彼よりははるかにテクニックが落ちる○○さんや、◆◆さんの方が面白く聞けてしまうのです。
おそらく、どんな難しいところでも楽々と演奏ができてしまうがための弊害かもしれません。
同じハイテクヴァイオリニストでもオイストラフ程度ならこういうことはおこらないようです。やはり、どこかで演奏家と作品の間で「軋み」みたいなものが発生しないと、いい意味での緊張感が生まれないようです。
贅沢と言えば贅沢話なのですが・・・。
まあ、ハイフェッツのカデンツァをハイフェッツの演奏で聞けるだけでも良しとしましょうか。
よせられたコメント
2009-03-16:次郎
- ライナーとの録音よりこちらの方が好きです。ライブのほうがやはり勢いがあるように思います。
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