クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ポンキエッリ:ラ・ジョコンダより時の踊り

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年7月23日・11月5〜8日録音





Ponchielli:ラ・ジョコンダより時の踊り


ダメージケアのシャンプーが思い浮かぶ・・・?

この作品もかなりの有名作で、クラシック音楽に興味はなくてもどこかで一度は耳にしたことがあるメロディがあふれています。特にこの作品が有名になったのはディズニーの名作「ファンタジア」の中で使われたためです。ダチョウが転ぶシーンやワニがカバに飛びつくシーンにこの作品の中の「昼の時の踊り」が使われています。でも、昨今はダメージケアのシャンプーのCMが思い浮かぶ人の方が多いかもしれません。(小柳ゆきの「Lovin'you」)
この作品は、もともとはオペラ「ラ・ジョコンダ」の中でのバレエシーンで使われたものです。ただし、このバレエシーンというのは聴衆を飽きさせないために途中で挿入することがお約束として義務づけられていたものなので、物語の進行とは全く関係なく挿入されていました。ですから、こういう形でこの部分だけを抜き出してもなんの不都合もありません。と言うか、オペラの内容はこの作品にただようかわいい雰囲気とは似てもにつかない昼メロ顔負けのドロドロ愛憎劇なのです。
「ラ・ジョコンダ」は今でも時々上演される作品ですし、録音も数多く残されていますから、決して忘れ去られた作品ではありません。ですから、昼メロ大好きな方なら一度は本家のオペラも聴いてみても面白いかもしれませんが、そうでない人はこの作品だけにとどめておいた方がいいかもしれません。

若きカラヤンの姿が明瞭に刻印された録音


カラヤンはこのような小品をまとめたものをこの後も何度か録音していますが、その一番最初のトライがこのフィルハーモニア管弦楽団とのコンビでの仕事です。この後は彼の手兵とも言うべきベルリンフィルを使っているのですが、明らかにこの両者では音楽の方向性が異なります。
ベルリンフィルとの録音では何よりも弦楽器セクションを中心としたそのゴージャスな響きに魅了されます。そして、そう言うこれ見よがしの響きで音楽を構成していくやり方に、ユング君も含めて少なくない人々が反発を覚えたわけでもあります。
しかし、このフィルハーモニアとの録音ではその様な感覚的な楽しさは稀薄です。
イギリスのオケというのは一般的にニュートラルな性格を持っていて、時々の指揮者にあわせるという性格が強いのが特徴です。ウォルター・レッグによって設立されたばかりのフィルハーモニアはセッションを組んで録音をするということが本務でしたから、とりわけそうのような性格が強かったように見えます。彼らは、ゴージャスな響きで聞き手を魅了するというような「劇場的なるものへの誘惑」を裁ち切り、何よりも指揮者の指示に出来る限り正確に反応していく事を大切にしていたように見えます。
ですから、このカラヤンとフィルハーモニアの録音では、後年ようなゴージャスさではなくて見通しの良いシャープな音楽な仕上がっています。そして、それは同時に、この後世界のトップへと上り詰めていく若きカラヤンの姿がこの上もなく明瞭に刻印された録音だとも言えます。

よせられたコメント

2013-03-16:oTetsudai


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-03-28]

ラヴェル:スペイン狂詩曲(Ravel:Rhapsodie espagnole)
シャルル・ミュンシュ指揮:ボストン交響楽団 1950年12月26日録音(Charles Munch:The Boston Symphony Orchestra Recorded on December 26, 1950)

[2025-03-24]

モーツァルト:セレナード第6番 ニ長調, K.239「セレナータ・ノットゥルナ」(Mozart:Serenade in D major, K.239)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1959年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1959)

[2025-03-21]

シューベルト:交響曲第2番 変ロ長調 D.125(Schubert:Symphony No.2 in B-flat major, D.125)
シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1949年12月20日録音(Charles Munch:The Boston Symphony Orchestra Recorded on December 20, 1949)

[2025-03-17]

リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲, Op.34(Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol, Op.34)
ジャン・マルティノン指揮 ロンドン交響楽団 1958年3月録音(Jean Martinon:London Symphony Orchestra Recorded on March, 1958)

[2025-03-15]

リヒャルト・シュトラウス:ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 ,Op.18(Richard Strauss:Violin Sonata in E flat major, Op.18)
(Vn)ジネット・ヌヴー (P)グスタフ・ベッカー 1939年録音(Ginette Neveu:(P)Gustav Becker Recorded on 1939)

[2025-03-12]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589(プロシャ王第2番)(Mozart:String Quartet No.22 in B-flat major, K.589 "Prussian No.2")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2025-03-09]

ショパン:ノクターン Op.27&Op.37(Chopin:Nocturnes for piano, Op.27&Op.32)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1956年発行(Guiomar Novaes:Published in 1956)

[2025-03-07]

モーツァルト:交響曲第36番 ハ長調「リンツ」 K.425(Mozart:Symphony No.36 in C major, K.425)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1960年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1960)

[2025-03-03]

ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調, Op.68(Brahms:Symphony No.1 in C Minor, Op.68)
アルトゥール・ロジンスキ指揮:ニューヨーク・フィルハーモニック 1945年1月8日録音(Artur Rodzinski:New York Philharmonic Recorded on January 8, 1945)

[2025-02-27]

ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調(Debussy:Sonata for Violin and Piano in G minor)
(Vn)ジネット・ヌヴー (P)ジャン・ヌヴー 1948年録音(Ginette Neveu:(P)Jean Neveu Recorded on 1948)

?>