エルガー:威風堂々「第1・4番」
ヘンリー・ウッド指揮 クイーンズホールオーケストラ 1940年録音
Elger:「威風堂々第1番」
Elger:「威風堂々第4番」
とにかくポピュラリティーは抜群です。
中間部の旋律が国王の戴冠式に使われたこともあり、(『戴冠式頌歌 (Coronation Ode)』の終曲「希望と栄光の国 (Land of Hope and Glory)」に転用)、イギリスでは”第2国歌”に近い扱いをうけています。
日本でもセレモニーなどでよく使われてきたため、クラシック音楽に興味を持たない人でもその旋律はよく知られています。
しかしそれ以外の作品となると、「愛の挨拶」等の小品を除けばとたんに認知度がひくくなります。
ところが本国イギリスでは大違いです。
何しろイギリスは音楽創作の分野では長く不毛の地でした。それこそ何百年にもわたってイギリスは音楽を消費するだけで、たまに活躍する人が現れてもそれはヘンデルやハイドンなどの外国人でした。
そんなイギリスにあって、久々に登場した世界レベルの作曲家、それがエルガーでした。ですから、イギリス人のエルガーに対する思い入れは大変なものがあります。
例えば、エルガーの代表作であるチェロ協奏曲を、イギリスの指揮者であるサー・ジョン・バルビローリと、イギリスのチェリストであるジャクリーヌ・デュ・プレが競演した録音が、イギリスにおいてどれほど高く評価されているかは私たちの想像を絶するものがあります。(イギリスのグラモフォン誌は、20世紀を代表する録音の中では堂々の第2位にランキングしています。ちなみに第1位はショルティの指輪でこれはまあ妥当なところでしょうが・・・)
そんなエルガーですが、彼は何と専門的な音楽教育を受けていません。その望みはあったのですが経済的に許されず、ヴァイオリン教師として生活の糧を得ながら、その傍らでこつこつと創作活動を続けてきた人でした。
やはり不毛の地に復興の第一歩を築くには柔なエリートでは不可能だったということでしょうか。
プロムスの生みの親、ヘンリー・ウッド
プロムスと言えば今ではイギリスの夏の風物詩となっていますが、始まったのは今から100年以上も前の1895年です。肩の凝らない大衆コンサート「ヘンリー・ウッド・プロムナード・コンサート」 (プロムス) として開催されたのがはじまりで、一回の立ち見席では自由に動き回って飲み食いもできると言うことで労働者階級のコンサートとして定着していきました。
その伝統は今も引き継がれていて、有名な「ラストナイト」は、コンサートと言うよりはお祭り騒ぎのような有様になるのはBBCの放送で世界中に知られています。
ウッドは1944年にこの世を去るまでこのコンサートで指揮棒を降り続けました。そして、プロムスと言えばエルガーの「威風堂々」はなくてはならない作品ですから、これはまさに定番中の定番とも言うべき演奏です。
なお録音はこの時代のものとしては最上、極上の部類に属します。
よせられたコメント
【最近の更新(10件)】
[2024-11-24]
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調, Op.98(Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)
[2024-11-21]
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)
[2024-11-19]
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)
[2024-11-17]
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)
[2024-11-15]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-11-13]
ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)
[2024-11-11]
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)
[2024-11-09]
ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)
[2024-11-07]
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)
[2024-11-04]
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)