ムソソルグスキー:展覧会の絵(ラヴェル編曲)
トスカニーニ指揮:NBC交響楽団 1938年1月29日録音
Mussorgsky:展覧会の絵(ラヴェル編曲)
今までの西洋音楽にはない構成
組曲「展覧会の絵」は作曲者が35歳の作品。親友の画家で建築家のヴィクトール・ガルトマン(1834〜1873)の遺作展が開かれた際に、そのあまりにも早すぎる死を悼んで作曲されたと言われています。
彼は西洋的な音楽語法を模倣するのではなく、むしろそれを拒絶し、ロシア的な精神を音楽の中に取り入れようとしました。
この「展覧会の絵」もガルトマンの絵にインスピレーションを得た10曲の作品の間にプロムナードと呼ばれる間奏曲風の短い曲を挟んで進行するといった、今までの西洋音楽にはない構成となっています。
よく言われることですが、聞き手はまるで展覧会の会場をゆっくりと歩みながら一枚一枚の絵を鑑賞しているような雰囲気が味わえます。
作品の構成は以下のようになっています。
「プロムナード」
1:「グノームス」
2:「古い城」
「プロムナード」
3:「チュイルリー公園」
4:「ヴィドロ」
「プロムナード」
5:「殻をつけたままのヒヨコのバレエ」
6:「ザムエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」
「プロムナード」
7:「リモージュの市場」
8:「カタコムベ(ローマ人の墓地)」
9:「ニワトリの足に立つ小屋(ババヤーガ)」
10:「雄大な門(首都キエフにある)
やはりトスカニーニはすごい!!
この演奏を実際にコンサート聴けば魂は宙に舞い上がるでしょうね。間違いなく!!
こういうのを聞くと、彼の目指したものがいかにフルトヴェングラーの音楽とはかけ離れていたかを実感することができます。
彼の音楽の一番素晴らしいのは、音楽を音響の構築物として築き上げる手腕の見事さです。(キエフの大門の何という見事さ!!)そして、さらに素晴らしいのは、そう言う壮麗な構築物の中に、強靱でしなやかな歌が満ちあふれていることです。
昨今の指揮者は彼の方法論を引き継いで、音楽から物語性を排除して音響の構築物として築き上げることにはそれなりの手腕を見せますが、その中に「歌」がないので聞いていてつまらないものが多いです。ある意味では背反するこの二つの要素をきわめて高い次元で止揚したトスカニーニは、やはり20世紀を代表する偉大な指揮者であったと再認識させられます。
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