クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ワーグナー:「リエンツィ」序曲

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮:ウィーン・フィルハーモニ管弦楽団 1950年6月14日~15日録音





Wagner:Rienzi Overture


ワーグナーの出世作

パリで不遇な時代を過ごしていたワーグナーが何とか成功を勝ち取りたいとの「鉄の意志」のもとに書き上げたのが「リエンティ」です。

実際、ビューローが「マイアベーヤの最後のオペラ」と称したように、華麗で豪華な作品に仕上がっています。
しかし、そのマイアベーヤの尽力があったにもかかわらずパリでの上演は成功せず、初演はドレスデンの歌劇場に行われることになります。

上演時間は6時間にも達するにもかかわらず(現在は整理がされて3時間半程度になっています)、この初演は熱狂的とも言える大成功をおさめ、無名のワーグナーを有名作曲家へと押し上げることになりました。

しかし、現在ではこれに続く「さまよえるオランダ人」と比べると評価は低く、編成の規模の大きさや上演時間の長さもあって歌劇場で上演されることはほとんどありません。
CDを探してみても、全曲録音されたものは地元ドレスデンの歌劇場のものをのぞけばほとんど存在しないのではないでしょうか。

そんな中で、この序曲だけはコンサートピースとしてよく演奏されます。
序曲はまずリエンツィが、民衆に革命を呼びかけるトランペットの動機から始まり、さらにリエンツィの祈りの歌「全能の天よ、護りたまえ」、リエンツィの雄叫び「聖なる魂の騎士」等が用いられていて、これを聴けば歌劇の全体が分かるという仕組みになっています。

Deccaの販売戦略


クナッパーツブッシュとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団都のワーグナーと言えば、1950年後半にステレオで録音された素晴らしい演奏が残されています。
それだけに、1950年にモノラルで録音された録音が話題に上ることはそれほどありません。しかし、戦火の傷手から漸くにして立ち直りつつあるウィーン・フィルと未だ活気に溢れていたクナッパーツブッシュとの演奏には興味深いものがあります。

本番の演奏が上手くいかなくなったときに「あのクソったれ練習のおかげだな」と毒づいたというのはクナッパーツブッシュの有名な逸話ですが、それはどうやら1948年のバンベルク交響楽団との演奏旅行の時のエピソードだそうです。
シューマンの第4交響曲の第3楽章にはリピートがたくさんあるのですが、それを行うかどうかは指揮者の判断に任されてます。クナッパーツブッシュは練習の時にそのリピートを全て省略して先へ行こうとしたらしいのです。
しかし、楽団員からどこでリピートすべきか指示して欲しいという要望が出たのです。

そして、練習嫌いなクナパーツブッシュにしては珍しく、一つずつリピートするべき場所を丁寧に指示をしたのです。ところが、肝心の本番で数人がそのリピートの場所を取り替えて演奏がほんの一瞬混乱したのです。さらに、その数日後には、今度は自分自身がそのリピートの指示を忘れて振り間違えるという失敗もしでかしてしまうのです。

この時にクナーパーツブッシュの口からでたのが「あのクソったれ練習のおかげだな」だったのです。

そう言うクナーパーツブッシュの勢い(^^v・・・が一番良くでていたのはこの50年前半の時期だったのではないでしょうか。
なお、この一連のワーグナー録音はこの年にバイロイト音楽祭が復活し、翌年にはクナパーツブッシュが登場することが決まったからでした。Deccaはそのバイロイトでの録音を計画していて、その指揮者としてはクナパーツブッシュに狙いを定めていました。
ですから、これは翌年の目玉商品となるであろうバイロイトでのクナーパーツブッシュの宣伝という意味合いもあったようです。
つまりは、Deccaの販売戦略だったと言えるのです。

そして、1950年のモノラル録音ですが、さすがはDeccaと思わせてくれるほどに優れた音質で収録されています。
クナーパーツブッシュにしては随分と大人しくセッション録音に取り組んだようです。ウィーン・フィルの素晴らしい音色とクナパーツブッシュならではの大柄で重厚な音楽が聞けることに感謝あるのみです。

よせられたコメント

【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-03-08]

ベルワルド:交響曲第4番 変ホ長調 「素朴な交響曲」(Berwald:Symphony No.4 in E-flat major "Naive" )
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1955年12月録音(Igor Markevitch:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on December, 1955)

[2026-03-05]

ヨーゼフ・マルクス:ヴァイオリンソナタ「春のソナタ」(Joseph Marx:Sonata for Violin and Piano in A major "Spring")
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:(P)オットー・アルフォンス・グレーフ 1954年録音(Vasa Prihoda:(P)Otto Alphonse Greif Recorded on 1954)

[2026-03-03]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調, Hob.III:63(Op.64-5) 「雲雀」(Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark")
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年5月録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on May, 1954)

[2026-02-28]

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品82(Glazunov:Violin Concerto in A minor, Op.82)
(Vn)マイケル・レビン:ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年12月17日録音(Michael Rabin:(Con)Lovro von Matacic The Philharmonia Orchestra Recorded on December 17. 1954)

[2026-02-25]

ハイドン:弦楽四重奏曲第60番 イ長調 Op.55, No.1, Hob.3:60(Haydn:String Quartet No.60 in A Major, Op.55, No.1, Hob.3:60)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1936年11月19日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on November 19, 1936)

[2026-02-22]

ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 第1番 変ホ長調, Op.3(Beethoven:String Trio in E-flat major, Op.3)
パスキエ・トリオ:1950年代録音(Pasquier Trio:Recorded on 1950s)

[2026-02-18]

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番へ長調, Op.135(Beethoven:String Quartet No.16 in F major Op.135)
ハリウッド弦楽四重奏団:1957年4月22日,5月11日&6月1日,3日,12日,20日録音(The Hollywood String Quartet:Recorded on April 22, May 11 & June 1, 3, 12, 1957)

[2026-02-16]

スメタナ:わが故郷より(Smetana:from my hometown)
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:(P)リディア・ベフトルト 1949年録音(Vasa Prihoda:(P)Lydia Beftot Recorded on 1949)

[2026-02-12]

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調, Op.47(Sibelius:Violin Concerto in D minor Op.47)
(Vn)ダヴィド・オイストラフ:シクステン・エールリンク指揮 ストックホルム・フェスティヴァル管弦楽団 1954年録音(David Oistrakh:(Con)Sixten Ehrling Royal Stockholm Philharmonic Orchestra Recorded on 1954)

[2026-02-10]

フォーレ:夜想曲第12番 ホ短調 作品107(Faure:Nocturne No.12 in E minor, Op.107)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

?>