リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34
アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1959年6月録音
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [1.Alborada]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [2.Variazioni]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [3.Alborada]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [4.Scena e canto gitano]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [5.Fandango asturiano]
古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つ

もともとはヴァイオリンのコンチェルト風の音楽として着想された作品ですが、最終的にはヴァイオリン独奏をふんだんに盛り込んだ輝かしいオーケストラ曲として完成されました。構成上は5楽章からなるんですが、連続して演奏されるために単一の管弦楽曲のように聞こえます。ただ、それぞれの楽章はホセ・インセンガなる人の手になるスペイン民謡集から主題が借用されていて(手を加えることもなく、そっくりそのまま!!)、その主題をコルサコフが自由に展開して仕上げる形をとっていますので、5楽章というのはそれなりに意味を持っていると言えます。
- 第1楽章:アルポラーダ(朝のセレナード)::スペインの輝かしい朝を思わせる派手な音楽です。
- 第2楽章:変奏曲(夕べの踊り)::第1楽章とは対照的な夕べの穏やかな雰囲気がただよう音楽です。
- 第3楽章:アルボラーダ::第1楽章と同じ主題ですが、半音高い変ロ長調で演奏され、オーケストレーションも変えられています。(ヴァイオリンとクラリネットが入れ替わっている・・・等)
- 第4楽章:ジプシーの歌::小太鼓の連打にヴァイオリンの技巧的な独奏とジプシー情緒満点の音楽です。
- 第5楽章:ファンダンゴ::カスタネットやタンブリンの打楽器のリズムに乗って情熱的な踊りが展開されます。フィナーレはまさに血管ブチ切れの迫力です。
おそらく、古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つでしょう。この曲の初演に当たって、練習中の楽団員からたびたび拍手がわき起こってなかなか練習が進まなかったというエピソードも残っているほどです。
チャイコフスキーもこの作品を取り上げて「作曲者自身が現代一流の音楽家であると自認して良いほどの素晴らしい管弦楽法を見せる」と絶賛しています。
こういう作品を前にすると「精神性云々・・・」という言葉は虚しく聞こえるほどです。クラシック音楽を聞く楽しみの一つがこういう作品にもあることをマニアックなクラシック音楽ファンも確認する必要があるでしょう。
「Living Presence」の録音でもとびきりの優秀録音
50年代から60年代の初めにかけて、「Living Presence」は優秀録音の代名詞でした。その評価は、レーベル創設時の「展覧会の絵(クーベリック指揮 シカゴ交響楽団 1951年録音)」で確立されました。その時の衝撃を一言で言えば、「オーディオシステムを通してこれほど鮮明なオーケストラの響きを聞くことが出来るものなのか」に尽きます。
そして、その評価は録音のフォーマットがモノラルからステレオに変わることによって寄り確かなものとなります。
そして、その評価の高い「Living Presence」の録音の中でも、これこそはとびきりの優秀録音です。おそらく、このレベルを凌駕するような録音は、その後半世紀以上の時間が経過したにもかかわらずほとんど存在しないのではないでしょうか。
録音の優秀さを語るときには、よく音場と質感と言うことがよく語られます。
音場とは言うまでもなく、演奏されている場の空気感やレイアウトなどがどれほど表現されているかと言うことです。
質感とは、そこで鳴り響いている個々の楽器のリアリティがどれほど上手くすくい取られているかです。
基本的にこの2つは録音という場では相反する性質を持っています。空気感あふれる録音はどうしても個々の楽器のリアリティが後退しますし、その逆もまた真で、楽器のリア響きのリアリティを重視すれば音楽はセンター付近に固まってしまいます。
ですから、優秀録音と言うことになれば、この矛盾する2つの要素をどれほど高いレベルで融合させるかと言うことが課題となります。
そして、「Living Presence」の録音チームが出した答えは、モノラル録音ならば1本のマイク、ステレオ録音ならば3本のマイクを最適な位置にセッティングするという「ワンポイント録音」でした。この、リムスキー=コルサコフの「スペイン狂詩曲」は、そう言う思想に基づいて録音された「Living Presence」の中でも、とびきり上手くいった事例の一つだと言えそうです。
独奏ヴァイオリンのトリッキーな響きが見事にすくい取られていますし、クラリネット等の木管楽器や数々の打楽器の響きが実にリアルです。それでいながら、舞台上にそれぞれの楽器が幅広く展開されているのです。そして、広がりながらもセンター付近が薄味になることもありません。
おそらく、これは、自らのオーディオシステムをチェックするときのスタンダードになりうる録音だと言えます。
恐れずに言い切ってしまえば、これを再生してそれほど大したことがないと思うようだと、おそらく問題は録音ではなくてシステムにあると言い切っていいように思います。
ドラティ&ロンドン交響楽団の演奏もまた見事なもので、その溢れるような気迫までもが録音の中に閉じこめられています。
ただし、その録音を再現するソースのクオリティは基本的には以下のようになります。
(1) < (2) < (3) < (4)
- (1)MP3ファイルのストリーミング再生
- (2)DLしたMP3ファイルをローカル環境で再生
- (3)FLACファイルを再生
- (4)FLACファイルをWAVEファイルに変換して再生
「(3)FLACファイルを再生」と「(4)FLACファイルをWAVEファイルに変換して再生」の差は微妙で、違いはないと言い切る人もいますが、個人的には違いは小さくないと感じています。
しかし、(1),(2)と較べればその差はかなり小さいです。
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