ビゼー:「アルルの女」 第2組曲
ビーチャム指揮 ロイヤルフィル 1956年録音
Biezt:「アルルの女」 第1組曲 「パストラール」
Biezt:「アルルの女」 第1組曲 「間奏曲」
Biezt:「アルルの女」 第1組曲 「メヌエット」
Biezt:「アルルの女」 第1組曲 「ファランドール」
編成を変えて大成功
この作品はアルフォンス・ドーテの戯曲「アルルの女」の劇附随音楽として作曲されました。戯曲の方は大成功を収めアルフォンス・ドーテの名声を不動のものにしたそうです。残念ながらフランス文学には至って暗いので、アルフォンス・ドーテという名を聞かされても全くピントこないのですが、そちらの世界ではなかなかに有名な人らしいです。
ただ、ビゼーが必死の思いで作曲した方の音楽はあまり評判がよくなかったという話が伝わっています。
理由ははっきり分からないのですが、どうも「アルルの女」を上演した劇場のオーケストラが小編成で技術的にも問題があったのではないかと推測されています。
しかし、作曲をしたビゼーの方はこの作品に絶対の自信を持っていたようで、全27曲の中からお気に入りの4曲を選んで演奏会用の組曲に仕立て直しました。これがアルルの女の第1組曲です。劇判音楽の方はいびつな小編成のオケを前提としていましたが、組曲の方は通常の2巻編成のオケを前提として編曲がなされています。
そして、ビゼーの死後、親友のギローが新たに4曲を選んで(有名な第3曲のメヌエットは「美しいパースの女」からの転用)組曲にしたのが第2組曲です。
この組曲の方はビゼーの死後に発表されて大好評を博しました。
<第1組曲>
第1曲:「前奏曲」
第2曲:「メヌエット」
第3曲:「アダージェット」
第4曲:「カリヨン」
<第2組曲>
第1曲「パストラール」
第2曲「間奏曲」
第3曲「メヌエット」
第4曲「ファランドール」
大人の音楽
ビーチャムという人はビゼーがかなりお気に入りだったようで、彼の若書きの交響曲を世に広めたのはビーチャムの功績だと言われています。そんなビーチャムによる「アルルの女」なのですから悪かろうはずがありません。
聞いていて、思わず笑みがこぼれてくるような暖かさにつつまれた音楽です。そして、こういう音楽を聴かされると、細かいことをあげつらうような物言いが恥ずかしくなってきたりします。
確かに、アルルの女と言えばクリュイタンスがパリ音楽院のオケを指揮した素敵な録音があります。あれは、明晰さこの上もない響きの中から何とも言えない深い感情がわき上がってくるような演奏でした。それと較べれば、ビーチャムの演奏はソフトフォーカスの雰囲気優先の演奏のように聞こえたりします。
でも、そんなことを言ってはいけないのです。
それが、大人というものです。大人は大人の音楽を楽しまなければ行けません。
よせられたコメント
2019-11-21:北極
- レオ・ドリーヴ「シルヴィア」の「バッカスの行進」にも通じる私好みの滔々とした演奏です。
【最近の更新(10件)】
[2024-11-21]
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)
[2024-11-19]
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)
[2024-11-17]
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)
[2024-11-15]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-11-13]
ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)
[2024-11-11]
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)
[2024-11-09]
ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)
[2024-11-07]
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)
[2024-11-04]
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)
[2024-11-01]
ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)