クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

グリーグ:劇付随音楽『ペール・ギュント』より

ビーチャム指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 イルゼ・ホルヴェーク(S) ビーチャム合唱協会 1956〜57年録音





Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「結婚行進曲」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「イングリードの嘆き」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「山の魔王の宮殿にて」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「朝」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「オーゼの死」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「アラビアの踊り」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「ソルヴェーグの歌」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「アニトラの歌」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「.ペール・ギュントの帰郷」

Griege:劇付随音楽『ペール・ギュント』より「ソルヴェーグの子守歌」


今では組曲の方が有名になってしまいました。

 イプセンが書いた詩劇「ペールギュント」はノルウェーに古くから伝わる民話を素材としていますが、簡単に言えば、とんでもない身勝手な男とそんな馬鹿な男を支えて待ち続ける純情な女の物語です。ワーグナーなんかが典型なのですが、どうもこういう「とんでもない男の身勝手」というモチーフが西洋人は好きなようです。
 登場するのは道楽の果てに財産を使い果たした馬鹿親父を持つ大ボラふきのペールとそんな馬鹿息子を溺愛する馬鹿母のオーゼです。(凄い一家です^^;)そして、そんなペールに心を寄せる「純情な娘・・・ソルヴェイグ」がこの物語の主要な登場人物です。

 物語はペールの波乱に満ちた人生を縦糸に、そんなペールを信じて待ち続けるソルヴェイグを横糸として展開されていきます。
 ペールはソルヴェイグという恋人がいながら幼なじみだったイングリットを結婚式の場から奪って逃げたり、国際的な山師となってモロッコの皇帝の財宝をだまし取ったり、カリフォルニアで大金持ちになったりします。しかし、せっかく奪ったイングリッドなのにあきて捨ててしまったために山の魔物に酷い目にあわされたり、だまし取った財宝を色仕掛け(アニトラのお踊り)でだましたられたり、せっかくの財宝も船が難破して全て失ったりしてしまいます。
 そしてようやくにして帰り着いた故郷では盲目になりながらもソルヴェイグが彼の帰りを待ち続け、そんなソルヴェイグに許しを請いながら安らかな最期を迎えるというお話です。(何という荒っぽいあらすじ・・・_(_^_)_ ゴメンチャイ)
 グリーグはそんなとんでもないお話に音楽をつけるのは心がすすまなかったようですが、頼まれると嫌といえない性格だったのか、苦労しながら28曲の音楽を作曲します。そして、その28曲の中から4曲ずつ「お気に入り」を抜き出し、オーケストレーションなどを手直しして1888年に第1組曲、1892年に第2組曲を作曲します。
 現在では本家の詩劇の方はほとんど読まれることもなく、そのために全曲版の方も滅多に演奏されません。しかし、組曲の方は見方によっては4楽章構成の交響曲のように見えなくもない(見えないか・・・^^;)まとまりの良さもあって、現在ではグリーグを代表する作品としてよくコンサートでも取り上げられます。

○ 第1組曲
1. 前奏曲『朝の気分』 第4幕の前奏曲(No.13)
2.『オーゼの死』 第3幕前奏曲・第3幕第4場(No.12)
3.『アニトラの踊り』 第4幕第6場(No.16)
4.『山の魔王の宮殿にて』 第2幕第6場の開始(No.8)

○ 第2組曲
1. 前奏曲『花嫁の略奪とイングリッドの嘆き』 第2幕の前奏曲(No.4)
2.『アラビアの踊り』 第4幕第6場(No.15)
3. 前奏曲『ペールギュントの帰郷』 第5幕の前奏曲(No.21)
4.『ソルヴェイグの歌』 第5幕第5場(No.23)

ペール・ギュント組曲(ビーチャム版)・・・??


全曲盤でもなければ組曲盤でもない、おそらくはビーチャム自身が気に入った曲だけを適当に抜粋して録音した演奏です。
ですから、これは正確に言えば、劇付随音楽『ペール・ギュント』(抜粋盤)と言うことになるのでしょうか。しかし、それにしてはソプラノのソリストから合唱団まで動員してこんな中途半端なものを録音するなんて、さすがは「お金持ち」のやることは違うなぁ、などと感心してしまいます。

さて、そんな風に妙に気合いの入った「抜粋盤」なのですが、これはもう組曲盤を聞くよりは圧倒的に面白いです。そして、全曲通して聞くには間延びはするし、組曲盤では食い足りないし・・・と言う人には、もしかしたら一番ぴったりの演奏かもしれません。
それに、なんと言っても、ソリストや合唱まで動員して盛大に盛り上げるのはビーチャムの得意技です。こういう「外連味」たっぷりの音楽をやらせると、ほんとにこの人素敵です。

そんなわけで、この不思議な選曲からなるペール・ギュントですが、あえて私はペール・ギュント組曲(ビーチャム版)と名付けましょう。
それと、もう一つ付け加えておくと、ステレオ録音が未だ実験段階だった時期の録音なのですが、それがにわかに信じがたいほどの優秀録音です。こういうのを聞かされると、この半世紀、それほど進歩してないなぁ・・・と思ってしまいます。

よせられたコメント

2010-12-23:sada969


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