R.コルサコフ:熊蜂の飛行
アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1957年4月録音
R_Korsakov:熊蜂の飛行
結構「コワイ」音楽
ソリストが自らのテクニックを誇示するために様々な楽器用に編曲されている作品です。そのために、原曲がいったいドンナ音楽だったのかが忘れ去られようとしています。
実は、この音楽は「サルタン皇帝の物語」という歌劇の中に登場する音楽なのです。この歌劇はプーシキンの民話詩をベースにしたもので、分かりやすい勧善懲悪の物語になっているようなのですが、現在では上演される機会はほとんどないようです。
お話のあらすじは以下の通りです。
サルタン王は自らの妃として3人姉妹の中から一番末の娘を選びます。(やはり女性は若い方がいい^^;・・・?)おさまらないのは姉二人で、お決まりのごとく王に向かってあることないこと吹き込んで、そして、これまたお決まりのごとく、その口車に乗って王は妃と王子を追放してしまいます。
しかし、王子はこれまたお決まりのように、母である妃の深い愛情で立派な若者に成長します。これがクヴィドーン王子です。
やがて、王子はひょんな事から一羽の白鳥を助けます。白鳥は、いつか恩返しすることを約束してその場を飛び立ちます。
夜が明けると妃と王子は不思議な島に流れ着き、さらには島民の願いで二人は島の王となります。気高い精神を持った二人によって島は治まり、平和な日々が流れていきます。
一方、サルタン王の方は3人の船乗りからクヴィドーン王子の事を聞き驚きます。自らの讒言が明らかになることを恐れた二人の姉は必死で自らの嘘を覆い隠そうとするのですが、そこへ白鳥の魔法によって蜂に変身したクヴィドーン王子がやってきて、二人の姉やっつけます。やがて真実を知ったサルタン王は妃と王子を迎えに行くことになり、白鳥もまたクヴィドーン王子の愛によって魔法が解けて美しい王女に戻り、目出度し目出度しの中で幕がおります。
そうなのです、この歌劇の第3幕で主人公の王子が蜂に変身して悪者をやっつける場面がこの「熊蜂の飛行」として有名な音楽です。ですから、「飛行」と言うよりは「ファイト」と言った方がピッタリだと思いますし、音楽の方もそう思って聞くと、結構「コワイ」のです。
オケから引き出される色彩感が素晴らしい
アンセルメという人は「フランス音楽のスペシャリスト」というのが一般的評価のようです。そのココロは?といえば、細部まで見通しの良いクリアさと音色の多彩さを持ち味としているから、となるのでしょうか。
逆に言えば、ドイツ音楽の構築性みたいなものはあまり得意ではなかったようですし、金管バリバリ、低弦ゴリゴリの大迫力というのもあまり縁がないようです。
そんなアンセルメがリムスキー=コルサコフの音楽を結構まとめて録音しています。そして、この管弦楽法の大家の作品はそう言うアンセルメの特質と結構あっているように聞こえます。とにかくオケから引き出される色彩感が素晴らしいです。そして、ロシア音楽と言えばお決まりのような濃厚な情緒を前面に出すことなく、すっきりとした造形で普遍性を持った作品として提示していることも、リムスキー=コルサコフには相応しいと言えます。
録音も、50年代のデッカの素晴らしさを再認識させてくるだけの水準を保持しています
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