クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ベートーベン:交響曲第4番

カール・シューリヒト指揮 ベルリン・フィル 1942年録音





Beethoven:交響曲第4番 第1楽章

Beethoven:交響曲第4番 第2楽章

Beethoven:交響曲第4番 第3楽章

Beethoven:交響曲第4番 第4楽章


北方の巨人にはさまれたギリシャの乙女

北方の巨人にはさまれたギリシャの乙女、と形容したのは誰だったでしょうか?(シューマンだったかな?)エロイカと運命という巨大なシンフォニーにはさまれた軽くて小さな交響曲というのがこの作品に対する一般的なイメージでした。

そのためもあって、かつてはあまり日の当たらない作品でした。
そんな事情を一挙に覆してくれたのがカルロス・クライバーでした。言うまでもなく、バイエルン国立歌劇場管弦楽団とのライブ録音です。

最終楽章のテンポ設定には「いくら何でも早すぎる!」という批判があるとは事実ですが、しかしあの演奏は、この交響曲が決して規模の小さな軽い作品などではないことをはっきりと私たちに示してくれました。(ちなみに、クライバーの演奏で聴く限り、優美なギリシャの乙女と言うよりはとんでもないじゃじゃ馬娘です。)

改めてこの作品を見直してみると、エロイカや運命にはない独自の世界を切り開こうとするベートーベンの姿が見えてきます。
それはがっしりとした構築感とは対極にある世界、どこか即興的でロマンティックな趣のある世界です。それは、長い序奏部に顕著ですし、そのあとに続く燦然たる光の世界にも同じ事が言えます。第2楽章で聞こえてくるクラリネットのの憧れに満ちた響き、第3楽章のヘミオラ的なリズムなどまさにロマン的であり即興的です。
そして、こういうベクトルを持った交響曲がこれ一つと言うこともあり、そう言うオンリーワンの魅力の故にか、現在ではなかなかの人気曲になっています

偉大な老紳士 〜 カール・シューリヒト


ウィーンフィルのメンバーから「偉大な老紳士」と慕われたのが、ここで聴くことのできるシューリヒトです。
彼が活躍した時代は偉大なビッグネームが目白押しで、そのような中では目立たない地味な存在でした。彼が作り出す音楽自体も、テンポが速くてさらりと流すだけのような雰囲気なので、決して大向こうをうならせるような演奏ではありまあせん。ここで聴くことのできるベートーベンも巨大さとは縁遠い演奏ですからますますその存在は地味になっていきます。

しかし、玄人筋では非常に評価の高い人でもありました。
それは、さらりと流しているように見えながら、聞く耳さえあれば細部の音は意味深く鳴らされ、淡々とした流れの中からあふれるような詩情を感じ取ることができるからです。それは、オケをまるで自分の楽器のように自由自在に操る能力があればこそ成し遂げることのできる芸でした。

シューリヒトの音楽に魅力を感じるようになれば、真の芸術と虚仮威しの違いをはっきりと認識できるようになるはずです

よせられたコメント

2022-08-17:マコト君


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-06-04]

エルガー:交響曲第2番変ホ長調Op.63(Elgar:Symphony No.2 in E-flat major, Op.63)
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1954年6月日~9日録音(Sir John Barbirolli:Philharmonic Hall Recorded on June 8-9, 1954)

[2025-06-01]

ベートーベン:交響曲第2番 ニ長調 作品36(Beethoven:Symphony No.2 in D major)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1959年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1959)

[2025-05-29]

ラヴェル:組曲「クープランの墓(管弦楽版)」(Ravel:Le Tombeau de Couperin)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1958年11月16日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on November 16, 1958)

[2025-05-26]

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調, Op.35(Tchaikovsky:Violin Concerto in D major Op.35)
(Vn)アルフレード・カンポーリ:アタウルフォ・アルヘンタ指揮 ロンドン交響楽団 1956年12月27日~28日録音(Alfredo Campoli:(Cin)Ataulfo Argenta London Symphony Orchestra Recorded on December 27-28, 1955)

[2025-05-22]

ベートーベン:交響曲第1番 ハ長調 作品21(Beethoven:Symphony No.1 in C major , Op.21)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1959年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1959)

[2025-05-18]

ラヴェル:スペイン狂詩曲(Ravel:Rhapsodie espagnole)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1963年2月24日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on February 24, 1963)

[2025-05-15]

エルガー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調, Op.61(Elgar:Violin Concerto in B minor, Op.61)
(Vn)アルフレード・カンポーリ:サー・エードリアン・ボールト指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1954年10月28日~29日録音(Alfredo Campoli:(Con)Sir Adrian Boult The London Philharmonic Orchestra Recorded on October 28-29, 1954)

[2025-05-12]

ラヴェル:舞踏詩「ラ・ヴァルス」(Ravel:La valse)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1963年1月30日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on January 30, 1963)

[2025-05-09]

ブラームス:交響曲第4番 ホ短調, Op.98(Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽楽団 1960年録音(Joseph Keilberth:Hamburg Philharmonic Orchestra Recorded on 1960)

[2025-05-06]

ショパン:ノクターン Op.55&Op.62&Op.72&Op-posth(Chopin:Nocturnes for piano, Op.55&Op.62&Op.72)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1956年発行(Guiomar Novaes:Published in 1956)

?>