クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88

コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年6月24日~25日&7月1日録音



Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [1.Allegro con brio]

Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [2.Adagio]

Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [3.Allegretto grazioso ? Molto Vivace]

Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [4.Allegro ma non troppo]


一度聞けば絶対に忘れないほどの美しいメロディーです

メロディーメーカーと言われるドヴォルザークですが、ここで聞くことのできるメロディーの美しさは出色です。
 おそらく一度聞けば、絶対に忘れることのできない素晴らしいメロディーです。

 ユング君がこのメロディーに初めてであったのは、車を運転しているときでした。いつものようにNHKのFM放送を聞きながら車を走らせていました。おそらく何かのライヴ録音だったと思います。
 第2楽章が終わり、お決まりのように観客席の咳払いやざわめきが少し静まったころを見計らって、第3楽章の冒頭のメロディーが流れはじめました。
 その瞬間、ラジオから流れる貧弱な音でしたが、ユング君は耳が釘付けになりました。

 それは、今まで聞いたことがないような、この上もなく美しく、メランコリックなメロディーでした。
 その頃は、クラシック音楽などと言うものを聞き始めて間もない頃で、次々と新しい音楽に出会い、その素晴らしさに心を奪われると言う、本当に素晴らしい時期でした。そんな中にあっても、この出会いは格別でした。

 実は、車を運転しながら何気なく聞いていたので、流れている音楽の曲名すら意識していなかったのです。第4楽章が終わり、盛大な拍手が次第にフェイドアウトしていき、その後アナウンサーが「ドヴォルザーク作曲、交響曲第8番」と読み上げてくれて、初めて曲名が分かったような次第です。

 翌日、すぐにレコード屋さんにとんでいったのですが、田舎の小さなお店ですから、「えぇ、ドヴォルザークって9番じゃなかったですか?」等とあほみたいな事を言われたのが今も記憶に残っています。
 クラシック音楽を聴き始めた頃の、幸せな「黄金の時代」の思い出です。
HMVジャパン

強烈な表現の振幅の大きさ


静かに底へ底へと引きずり込まれていくような歌わせ方

シルヴェストリは57年から60年にかけて以下のような形でドヴォルザークを録音しています。


  1. ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年6月24日~25日&7月1日録音

  2. ドヴォルザーク:響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」:フランス国立放送管弦楽団 1957年12月9日~11日録音(モノラル録音)

  3. ドヴォルザーク:響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」:フランス国立放送管弦楽団 1959年10月20日~23日録音

  4. ドヴォルザーク:交響曲第7番 二短調 作品70:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年2月22日~23日録音



しつこいですが、こうやって並べてみると、57年12月録音の「新世界より」がモノラルで録音されたの不可解さがさらに浮き彫りになってきます。
ですが、それは脇において、今回は8番のシンフォニーです。

これもまた、随分と異形な表現なのですが、その異形の方向性が9番「新世界より」とは全く異なる方向での「異形」なので驚いてしまいます。
聞き所は言うまでもなく最終楽章です。とりわけ、有名な「コガネムシ」のテーマが一段落してから、低弦部で歌い出される美しい旋律の扱い方が、他のどの演奏とも異なっています。それこそ、静かに底へ底へと引きずり込まれていくような歌わせ方で、その沈潜した響きの扱い方は「新世界より」のラルゴ楽章よりもさらに際だっています。

さらに驚くのは、その響きの渋さです。それこそ、意図的に艶消しをしたような響かせ方は、この沈潜していく歌わせ方に妙にマッチしています。もしかしたら、何処かでスコアを弄っているのかもしれません。(ただの勘です。根拠はありません。)
当然の事ながら、セル&クリーブランド管のようなファースト・チョイスにはならないでしょうが、この聞きなれた作品を数多くの演奏で聞き込んできた人にとっては面白い体験ができることは間違いありません。

そして、ある意味ではこの「変態的」な音楽の作り方に文句も言わずに追随して見せたロンドン・フィルに拍手です!!

よせられたコメント

2016-02-25:emanon


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