バッハ:アラ・ブレーヴェ ニ長調 BWV589
ヴァルヒャ:1952年9月16日録音
Bach:アラ・ブレーヴェ ニ長調 BWV589
荘重様式
普通、<アラ・ブレーヴェ>というのは「二分音符を1拍と数える」ことを示す言葉ですが、バッハの時代には古い様式で書かれていることを示すためにこの<アラ・ブレーヴェ>という言葉が使われることもあったようです。この古い様式というのは<アラ・ブレーヴェ>と言う言葉から想像される速いテンポではなくて、ゆったりとした荘重な音楽をイメージしていました。ですから、この作品も音楽の切れ目がハッキリとしないで、音が次から次へとつながっていきます。それがいわゆる「荘重な雰囲気」を醸し出しているといえます。また、4声からなるこの作品は、それぞれの声部に主題を構成している動機が顔を出すために、帰って主題が浮かび上がりにくいという不思議な雰囲気を持っていて、その事が作品全体に「荘重な雰囲気」をただよわせる一因ともなっています。
と、ここまで書いておきながら、実は最近の研究ではこの作品はバッハの真作ではないという見方が有力になってきています。もちろん、ヴァイマール時代の若き日の作品のと言う見方も否定されてはいないのですが、何とも言えない取り留めのなさゆえにか、偽作派が最近は有力なようです。
ヴァルヒャ略歴
ライプチヒで1907年に生まれています。16才で失明するものの、ライプチヒ音楽院でギュンター・ラミーンに師事して1924年にオルガニストとしてデビューします。さらに、1926年には聖トーマス教会のオルガニストにも就任します。
第2次大戦後には三王教会のオルガニストにも就任し、165曲にもの上るバッハのオルガン作品の演奏と講義を行いました。彼の演奏は外面的な効果で作品を彩ることを拒絶し、きわめて厳格で峻厳なバッハ像を作り上げることで、バッハをロマン主義的歪曲から救い出したと評されています。
その後、10年近くにもわたって続けられたバッハのオルガン作品の録音は、長くバッハ演奏のスタンダード的な位置を占めてきました。
1991年にフランクフルトで没。
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