クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 「運命」

ワインガルトナー指揮 ブリティッシュ交響楽団 1932年3月17日・18日録音





Beethoven:交響曲第5番 ハ短調 「運命」 「第1楽章」

Beethoven:交響曲第5番 ハ短調 「運命」 「第2楽章」

Beethoven:交響曲第5番 ハ短調 「運命」 「第3?4楽章」


極限まで無駄をそぎ落とした音楽

今更何も言う必要がないほどの有名な作品です。
クラシック音楽に何の興味がない人でも、この作品の冒頭を知らない人はないでしょう。

交響曲と言えば「運命」、クラシック音楽と言えば「運命」です。

この作品は第3番の交響曲「エロイカ」が完成したすぐあとに着手されています。スケッチにまでさかのぼるとエロイカの創作時期とも重なると言われます。(1803年にこの作品のスケッチと思われる物があるそうです。ちなみにエロイカは1803〜4年にかけて創作されています。)

しかし、ベートーベンはこの作品の創作を一時的に中断をして第4番の交響曲を作曲しています。これには、とある伯爵未亡人との恋愛が関係していると言われています。
そして幸か不幸か、この恋愛が破局に向かう中でベートーベンはこの運命の創作活動に舞い戻ってきます。

そういう意味では、本格的に創作活動に着手されたのは1807年で、完成はその翌年ですが、全体を見渡してみると完成までにかなりの年月を要した作品だと言えます。そして、ベートーベンは決して筆の早い人ではなかったのですが、これほどまでに時間を要した作品は数えるほどです。

その理由は、この作品の特徴となっている緊密きわまる構成とその無駄のなさにあります。
エロイカと比べてみるとその違いは歴然としています。もっとも、その整理しきれない部分が渾然として存在しているところにエロイカの魅力があるのですが、運命の魅力は極限にまで整理され尽くしたところにあると言えます。
それだけに、創作には多大な苦労と時間を要したのでしょう。

それ以後の時代を眺めてみても、これほどまでに無駄の少ない作品は新ウィーン楽派と言われたベルクやウェーベルンが登場するまではちょっと思い当たりません。(多少方向性は異なるでしょうが、・・・だいぶ違うかな?)

それから、それまでの交響曲と比べると楽器が増やされている点も重要です。
その増やされた楽器は第4楽章で一気に登場して、音色においても音量においても今までにない幅の広がりをもたらして、絶大な効果をあげています。
これもまたこの作品が広く愛される一因ともなっています。

ベートーベン演奏の原点とも言うべき録音


ベートーベンの交響曲を全曲録音したのはこのワインガルトナーが最初です。その意味では、今日に至るベートーベン演奏の原点としての意味を持ちます。
しかし、録音はお世辞にも良好とは言い難いものですし、演奏そのものもこれに続くトスカニーニやフルトヴェングラーという錚々たる面々の演奏をすでに知っている耳にとっては取り立てて評価すべきものが乏しいと言わざるを得ません。
それでも、是非ワインガルトナーの録音をアップしてほしいという声が多く寄せられます。
おそらくは、演奏を「楽しみたい」と言うよりは、原点としての歴史的価値を一度は耳で「確かめてみたい」という思いなのでしょう。

ユング君のサイトは数はそろっているけれども音質はいまいちとよく言われます。確かに30年代から40年代の録音は、昨今の最新録音になじんだ耳にはいささか厳しいものがあることは事実です。ですから、最近は基本的に50年代以降の録音を中心にアップしてきました。良質なモノラル録音は最近の録音と比べても遜色ないほどの素晴らしさがあります。ユング君としては、そう言う良質なモノラル録音をアップするたびに「どうだ、これでもうユング君のサイトは音が悪い・・・とは言わせないぞ!!」なんどと一人で力みかえっています。(^^;
そんな努力(?)を積み重ねている最中に、いかに歴史的価値があるとは言え、20年代から30年代にかけて録音された演奏をアップすることには躊躇いを感じていました。
これが、例えばコルトーとティボーによるフランクのヴァイオリンソナタのように、演奏そのものにも価値があるなら問題はないのですが、ワインガルトナーのベートーベンにその様な価値を見いだす人はほとんどいないでしょう。
そんなわけで、要望が多く寄せられるのにも関わらず、どうしてもアップする気になれないでズルズルと先延ばしになっていました。

でも、あれこれ考えあぐねた末に、ついにアップする決心をしました。
結論から言えば、「実際の演奏を一度は耳で確かめては見たけれどCDを買い込んでまでも聞いてみる気にはなれない」というユーザー側の正直な気持ちに応えるべきだと判断したと言うことです。そして、ユング君のサイトのようなところで、そう言う類の録音をまとめてアップしておくというのも意味のあることかもしれないと思い直した次第です。
もちろん、これからも新しくパブリックドメインの仲間に入った録音・演奏ともに良質なものをアップしていくことが基本にはなるのですが、演奏史を振り返る意味で歴史的な価値があるものは録音に難点があってもアップしていこうと思います。

と言うことで、話は全くワインガルトナーには関係のないことばかりになったのですが、この録音に関しては以下のサイトに詳しい解説が載っております。
私が下らぬ事を長々と書き散らすよりは、こちらをご覧あれ。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/7792/weingartner.html

よせられたコメント

2013-04-27:NIKISCH


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-11-24]

ブラームス:交響曲第4番 ホ短調, Op.98(Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

[2024-11-21]

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)

[2024-11-19]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)

[2024-11-17]

フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)

[2024-11-15]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-11-13]

ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)

[2024-11-11]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)

[2024-11-09]

ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2024-11-07]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)

[2024-11-04]

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

?>