クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調, Op.26

(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:トーマス・シッパース指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1962年1月23日録音





Bruch:Violin Concerto No.1 in G minor, Op.26 [1.Vorspiel: Allegro moderato - 2.Adagio]

Bruch:Violin Concerto No.1 in G minor, Op.26 [3.Finale: Allegro energico]


ロマン派の協奏曲らしくメランコリック

今日ではヴァイオリン協奏曲とスコットランド幻想曲、そしてコル・ニドライぐらいしか演奏される機会のない人です。ただし、ヴァイオリニストにとってはこの協奏曲はある種の思い入れのある作品のようです。
と言うのは、ヴァイオリンのレッスンをはじめると必ずと言っていいほど取り上げるのがこの協奏曲であり、発表会などでは一度は演奏した経験を持っているからだそうです。ただし、プロのコンサートで演奏される機会は決して多くはありません。
しかし、ロマン派の協奏曲らしくメランコリックでありながら結構ゴージャスな雰囲気もただよい、メンデルスゾーンの協奏曲と比べてもそれほど遜色はないように思います。

第1楽章


序奏に続いて独奏ヴァイオリンの自由なカデンツァが始まるのですが、最低音Gから一気に駆け上がっていくので聴き応え満点、けれん味たっぷりのオープニングです。力強い第一主題と優美な第二主題が展開されながら音楽は進んでいき、いわゆる再現部にはいるところでそれは省略して経過的なフレーズで静かに第2楽章に入っていくという構成になっています。(・・・と、思います^^;)

第2楽章


ここが一番魅力的な楽章でしょう。主に3つの美しいメロディが組み合わされて音楽は展開していきます。息の長い優美なフレーズにいつまでも浸っていたいと思わせるような音楽です。

第3楽章


序奏に続いて,独奏ヴァイオリンが勇壮なメロディを聞かせてくれてこの楽章はスタートします。。前の楽章の対照的な出だしを持ってくるのは定番、そして、展開部・再現部と続いてプレストのコーダで壮麗に終わるというおきまりのエンディングですが良くできています。

甘い音色でよく歌うヴァイオリンを存分に堪能できる


これは何とも不思議な演奏です。一言で言えば、ヴァイオリンのソロとオーケストラの伴奏が何故か上手く噛み合っていないのです。ところが、その事を両者ともにあまり気にしていないような雰囲気で、オーケストラだけの部分は随分とあっさりと演奏しているにもかかわらず、フランチェスカッティのソロが入ってくると、それにピッタリと寄りそうのです。
協奏曲というのはソロをオーケストラが献身的にサポートするか、もしくはオケとソリストが火花を散らすのか、さらに言えばオケはお義理で伴奏をつけるのかと言うのが考えられるパターンなのですが、これはそのどれにもあてはまらないのです。

トーマス・シッパーは将来を嘱望された指揮者だったのですが、1977年に肺癌のために47歳で急逝しました。
ですから、この録音は彼にとっては30歳を過ぎたばかりの、まさに勢いを増している時の録音です。そう考えれば、このオケ伴は実に不思議です。

もちろん、ヴァイオリンの方はフランチェスカッティ節が炸裂しています。それだけに、最初はそのずれにいささか違和感を覚えました。
しかし、じっくりと聞いてみると、オケが随分とあっさりと早めのテンポで演奏していても、そこからヴァイオリンのソロに引き渡すときは実に丁寧に引き継いでいるのです。それに気づくと、あなたはあなた、私は私という感じでもないし、ましてやお義理で伴奏をつけているわけでもないようです。

そこで、気づいたのは、オケがあっさりしているが故に、結果としてフランチェスカッティの美しくて甘い音色が際だっているのです。
そう言えば、ハイフェッツなんかも自分のやりたい放題したいがために格下の指揮者を使うことがよくあったのですが、この場合は何となく共同正犯でシッパーズがフランチェスカッティのヴァイオリンを引き立てているような気がするのです。

まあ、さすがに考えすぎかもしれませんが、それでも結果としてフランチェスカッティの甘い音色でよく歌うヴァイオリンを存分に堪能できる演奏になっていることだけは間違いありません。

よせられたコメント

2022-05-28:joshua


2022-11-30:コタロー


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