ブルッフ:スコットランド幻想曲
(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ:ウィリアム・スタインバーグ指揮 RCAビクター交響楽団 1947年9月12日録音
Bruch:Scottish Fantasy, Op.46 [1.Introduction: Grave. Adagio cantabile]
Bruch:Scottish Fantasy, Op.46 [2.Scherzo: Allegro]
Bruch:Scottish Fantasy, Op.46 [3.Andante sostenuto]
Bruch:Scottish Fantasy, Op.46 [4.Finale: Allegro guerriero]
情緒纏綿たるヴァイオリンが聞ける作品
ブルッフと言えばヴァイオリン協奏曲が有名ですが、甘くてロマンティックなメロディを情緒纏綿として歌わせるブルッフの特徴がより強く出ているのはこちらのスコットランド協奏曲の方です。
この作品は連続して演奏されますが、ハッキリとした4楽章構成を持っています。しかし、ヴァイオリン協奏曲と呼ぶには全体の構成は自由であり、その結果として全体を意味ある構築物として仕上げるよりは、思う存分にヴァイオリンを歌わせることを目的としているようです。
各楽章はスコットランドの民謡が素材として用いられています。
第1楽章では、ロマンティックな「Thro' the Wood, Laddie(森を抜けながら,若者よ)」が使われ、第2楽章では「The Dusty Miller(粉まみれの粉屋)」という陽気な民謡が使われています。そして、第3楽章では再びロマンティックな民謡「I'm a' doun for lack o' Johnnie(ジョニーがいなくてがっかり)」が使われ、最終楽章は勇壮な行進曲風「Hey, now the day daws(さあ,夜が明ける)」で締めくくられます。
その合間にはバグパイプを思わせるような響きも使われていて、まさにスコットランド情緒満点の作品に仕上がっています。
クラシック音楽の世界では残念ながらこういう作品は余りたかく評価されません。確かに正面から向き合って聴くとなると音楽の密度が低いことは歴然としていて物足りなさをおぼえることは事実です。しかし、いつもいつもその様な聴き方をしているとしんどくなるのも事実で、そんな時にボンヤリとこういう音楽に耳を傾けると気持ちも心もノビノビとしてきて実に気分が良くなるのも事実です。
言ってみればちょっと贅沢なイージーリスニング曲だといえましょうか。
驚くほど録音がいいです。
録音は1947年という事なのですが、実に音がいいです。この録音はスコットランド幻想曲の決定盤的な位置を占めてきたようですが、今回聞き直してみてなるほどと納得させられました。
ハイフェッツはこういうエンターテイメント性の高い作品を演奏させると呆れるほどに上手いのですが、ここでもその法則は貫徹しています。
見事なものです。
よせられたコメント 2012-09-08:oTetsudai 素晴らしい。こう演奏して欲しいという希望を残らずかなえてくれる演奏。この曲はとても好きな曲で鄭京和の演奏が自分としては基本なのですが、誰が演奏しても聴き惚れてしまういい曲。だから若い子が演奏しているのもよく聴きますけれど、この演奏は本当に細部まで気を配ってしかも曲調が緩まない真に理想的な演奏です。ぜひ聴いてみてください。絶対後悔しません。
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