ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第1集 作品46
ドラティ指揮 ミネアポリス交響楽団 1958年4月録音
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Furiant. Presto (C major)]
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Dumka. Allegretto scherzando?Allegro vivo (E minor)]
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Polka. Poco Allegro (Am major)]
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Sousedska. Tempo di menuetto (F major)]
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Skocna. Allegro vivace (A major)]
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Sousedska. Allegretto scherzando (D major)]
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Skocna. Allegro assai (C minor)]
Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [Furiant. Presto (G minor)]
ドヴォルザークの出世作

ドヴォルザークは貧乏でした。
ヴィオラ奏者をしたり、教会のオルガニストをしながら創作活動を続けていましたが、それでも生活は苦しくて、政府からの奨学金を得るために作品を出品をしてなんとか食いつないでいました。
そんなドヴォルザークに転機を与えたのが、この奨学金獲得のために出品していた作品でした。幸運だったのは、審査員の中にブラームスとハンスリックがいたことでした。特に、ブラームスはドヴォルザークの才能を高く評価し、なじみの出版業者だったジムロックに紹介の労をとります。ジムロックもブラームスからの紹介だと断れなかったのでしょう、早速に「モラヴィア二重唱曲」を出版するのですが、これが予想外に好評で、これをきっかけとしてドヴォルザークの名は広く知られるようになります。
そして、次に企画されたのがブラームスのハンガリー舞曲のような作品で、「スラブ舞曲」として8曲が注文されます。
最初は4手用のピアノ曲集として出版されたのですが、この作品はたちまち人気作品となり、すぐに管弦楽用に編曲されます。すると、このオーケストラ版も各地のオケが競ってプログラムに取り上げるようになって、ドヴォルザークの名声は世界的に確立されるようになりました。
やはり、人間というのは苦しいときに腐ってしまっては駄目で、そう言うときこそ努力を続けなければいけません。ドヴォルザークはこの幸運のきっかけとなった奨学金獲得のための作品提出を5年も続けていました。この5年の努力が結果としてブラームスの目にとまることにもなったのでしょうし、おそらくはこの5年の努力が作曲家としてのドヴォルザークの力量を大きく伸ばすことにもなったのでしょう。そして、その実力があったればこそ、ひとたびきっかけを得た後は、そのきっかけを確実な「成功」に結びつけることができたのだと思います。
まさに、スラブ舞曲こそはドヴォルザークの出世作でした。
第1番:プレスト ハ長調 4分の3拍子
第2番:アレグレット・スケルツァンド ホ短調 4分の2拍子
第3番:ポーコ・アレグロ 変イ長調 2分の2拍子
第4番:テンポ・ディ・ミヌエット ヘ長調 4分の3拍子
第5番:アレグロ・ヴィヴァーチェ イ長調 4分の2拍子
第6番:アレグレット・スケルツァンド ニ長調 4分の3拍子
第7番:アレグロ・アッサイ ハ短調 4分の2拍子
第8番:プレスト ト短調 4分の2拍子
オーディオ的には実に爽快な体験ができる演奏
ドラティはこの作品をとても大切にしていたようで、調べてみるかかなり数多く録音しています。
- ミネアポリス交響楽団:1958年録音
- バンベルク交響楽団:1974年録音
- ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団:1983年録音
バンベルグ交響楽団との録音は聞いたことがないのですが、一般的には最晩年のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との録音を採るのが一般的でしょう。80年代に入ってからは士気も衰えがたがたになっていたこのオケからこれだけの演奏を引き出すとは、さすがは名の聞こえたオーケストラビルダーだけのことはあります。
この作品の演奏の方向性は、民族的な香りを前面に出すか、音楽がもっている精緻な構成を前面に出すかです。
前者の代表としてあげられるのがノイマン&チェコフィルの録音でしょうか。
後者ならば、セル&クリーブランド管かクーベリック&バイエルン放送響あたりが真っ先に思い浮かびます。
このドラティ&ミネアポリス響の演奏の立ち位置は間違いなく後者です。
しかし、セルやクーベリックと比べればバーバリズムにあふれています。リズムの弾み方が尋常じゃないですし、何よりも目一杯にオケを鳴らし切っています。
それ故に、これを熱気あふれる演奏と評価する向きもあるのでしょうが、それでも勢いを重視するあまり、細かく見れば(細かく見なくても^^;)いささか荒っぽい演奏という印象が拭いきれません。
ただし、そのような印象を持ってしまうのは、私にとっての刷り込みがセル&クリーブランド管だと言うことが原因の一つとなっているのかもしれません。
最初から基準点が北の方角にずれてしまっているのです。
ですから、いくつもスタンダードな演奏を聴いてきた後に、こういう思い切った演奏を聴いてみるのはクラシック音楽の同曲異演を聞く楽しみの一つかもしれません。
ただし、マーキュリーの録音はそう言う荒っぽい部分も含めて実に克明に音を拾っています。
オーディオ的には実に爽快な体験ができます。
もっとも、そう言う特徴は、いつもハイレゾ音源を貶すときに使う言葉・・・「素晴らしい音質で下らない演奏を聴かされるほど空しいことはありません。」に近いものがあるかもしれません。
判断は聞き手の皆様にゆだねます。
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