クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 作品20

Vn.リッチ ピエロ・ガンバ指揮 ロンドン交響楽団 1959年9月録音





Sarasate:ツィゴイネルワイゼン


ヴァイオリンのテクニックの見本市

サラサーテと言えばツィゴイネルワイゼン、ツィゴイネルワイゼンと言えばサラサーテです。

多くの作曲家(サン=サーンス・ブルッフ・ラロなど)が彼のために多くの作品を献呈していますが、何と言っても彼の手になるこの「ツィゴイネルワイゼン(ジプシーの歌)」が一番有名であり、サラサーテの代名詞となっています。
ヴァイオリンの華やかな技巧の見本市ともいうべき作品であり、エンターテイメントとしてのヴァイオリンの楽しさをこれほどまでに満喫できる作品はそうあるものではありません。

この作品は、当時のハンガリーで広く普及していたジプシーオーケストラのハンガリーの歌が使われています。サラサーテはこのアンサンブル特有の演奏スタイルと自由な即興的形式を上手くこの作品に取り込んでいます。
感傷的なレチタティーヴォ、歌うようなメロディー、炎のチェルダシ(ハンガリーの民族舞踊)。

実に見事なものです。

ハイフェッツのあとにアップするのはいささか意地が悪いでしょうか。


ハイフェッツの名前は偉大でその輝きが失われるにはどれほどの年月を要するのでしょうか。
それと比べると、ルジェーロ・リッチの名前は既に黄昏につつまれているように聞こえます。

ハイフェッツによる歴史的名演とも言うべき録音を既にアップしたあとで、リッチの録音をアップするというのはいささか意地が悪すぎるかもしれません。しかし、この二人の録音を聞き比べてみると、ハイフェッツの「凄味」というものがよく分かります。
もちろん、リッチの録音も決して凡庸なものではありません。もしかしたら、ヴァイオリンの音色はリッチの方が美しいかもしれませんし、テクニックの冴えも悪くはありません。
彼が得意としたサラサーテのツィゴイネルワイゼンなんかはいかにもスタンダードという雰囲気で、この作品の持ついささか大袈裟な雰囲気が上手く表現されています。つまり、サン・サーンスのハバネラやカプリチオーソにしても、どこか落ち着いた雰囲気があって、それが「匕首」を突きつけてくるようなハイフェッツとの演奏と比べると落ち着いて聞くことができるという「美点」にもつながります。
しかし、それだけではやはり悲しいかな、長い年月の間に人々の記憶から消えていってしまうのです。
やはり、忘れらられたらいやだと思えば、聞き手ののど元に「匕首」を突きつけるような演奏をしないとダメだと言うことなのでしょう。

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