モーツァルト:セレナーデ第11番 変ホ長調 K.375
レジナルド・ケル指揮 ケル・チェンバー・プレーヤーズ 1951年5月9日〜11日録音
Mozart:セレナーデ第11番 変ホ長調 K.375 「第1楽章」
Mozart:セレナーデ第11番 変ホ長調 K.375 「第2楽章」
Mozart:セレナーデ第11番 変ホ長調 K.375 「第3楽章」
Mozart:セレナーデ第11番 変ホ長調 K.375 「第4楽章」
Mozart:セレナーデ第11番 変ホ長調 K.375 「第5楽章」
管楽器のためのディヴェルティメント
アインシュタインは管楽器のためのディヴェルティメントのことを「われわれは、これらの管楽器のためのディヴェルティメントを一つ一つ扱う必要はない。」と述べています。そして、「それらは純粋の庭園音楽であり、・・・気むずかしい案出もなく緊張もない、形式の遊びである」と言い切った作品が、この第2部にまとめられています。
しかし、アインシュタインはそういいきりながら、「この求めるところのない作品の系列の最後には、今度もまた非常にすぐれた3つの作品があり、この系列ばかりでなく、このジャンル全体の頂点と見なされるべきもの」と賛辞を送っています。
その3つの作品というのは、「K361・K375・K388」です。
K361:セレナード 第10番 変ロ長調「グランパルティータ」
「作品の直接の魔力は、単なる音響そのものから発する。それはトゥティと独奏の絶え間ない交替であり、新しい組み合わせの饗宴がある。」
「モーツァルトが最初の緩徐楽章で第1ホルンと第2ホルンだけを使っていることは、彼のこの上ない芸術的叡智を証している。それは恋する若者の高鳴る胸から、憧れと嘆きと愛とが息吹のようにあえぎ出る、あの星空のもとのローミオの情景である。」
K375:セレナード 第11番 変ホ長調
「第1楽章はソナタ形式の理想的な行進曲に他ならず、ここの楽器のどれものための、華やかな旋律的、装飾的な生命に満ちている。これを吹奏することは喜びである!」
K388:セレナード 第12番 ハ短調「ナハトムジーク」
「ハ短調という暗い調性はモーツァルトの社交音楽の中では唯一無二のものである。ト短調がモーツァルトにおける宿命の調性ならば、ハ短調は劇的な調性であり、いわば、叙情的なものがたえず陰気な発作に襲われるのである。この第1楽章はハ短調ピアノコンチェルト(K491)への道を開いていると同時に、ベートーベンの第5シンフォニーへの道も開いている。」
イギリスを代表するクラリネット奏者
Reginald Kell(レジナルド ケル)はイギリスのヨークに生まれ、当初はヴァイオリンを学ぶものの、15歳の時にクラリネットに転向し、その後イギリスを代表する多くのオケで首席奏者をつとめたというのが経歴です。その後、1939年にトスカニーニにその才能を認められてルツェルンの音楽祭に招かれます。戦後は活動の本拠をアメリカに移し、ソリストとして活躍しながらも室内楽団対も主催するという売れっ子となります。また、教育者としても大変に有能な人だったようで、当時すでに名声を獲得していたベニー・グッドマンがレッスンを受けに来たというのは有名な話です。また、いくつかの教則本も残していて、クラリネットをやっている人にきくとそれは「拷問」に近い代物だそうです。
さて、演奏の方ですが、残念ながら同時代に活躍したウラッハと比べると少しガッカリするかもしれません。しかし、それはあまりにもウラッハが偉大にすぎるからであって、聞いていると心がふんわりと癒されて仕事に行くのがいやになるような素敵な音色は、それはそれとして魅力があります。
特に印象的なのは、アレグロのようなテンポの速い楽章では割合にすっきりと音楽を仕上げるのに対して、アダージョになるとテンポを落として実に丹念に歌い上げるのが心に残ります。また、その歌い方たるや、テンポ・音色・音量ともてる要素をフルに動員して実にねっちりと表情をつけていきます。特に、一つの楽章の中でアレグロとアダージョが頻繁に交代するモーツァルトのクインテットの第4楽章などはなかなかの聞きものです。
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