ブルックナー:交響曲第5番
フルトヴェングラー指揮 ウィーンフィル 1951年8月19日 ザルツブルグ音楽祭でのライブ録音
Bruckner:交響曲第5番「第1楽章」
Bruckner:交響曲第5番「第2楽章」
Bruckner:交響曲第5番「第3楽章」
Bruckner:交響曲第5番「第4楽章」
何故か演奏機会の少ない作品です
ブルックナーを心から敬愛する愛好家からは最もブルックナーらしい傑作として高く評価されることの多い作品ですが、何故か演奏機会は多くありません。
その辺の事情は初演時も同じだったようで、途中で第3交響曲の改訂という大きな中断を含みながらも1878年にようやく完成を見たこの作品は、なかなか演奏の機会に恵まれませんでした。
ピアノ編曲による試演などは行われたようですが、本来の形での演奏は1894年にシャルクによって行われました。しかし、当時既に病に伏していたブルックナーはこの演奏会におもむくことができず、翌年にレーヴェによって行われた演奏会にも出かける事はできませんでした。
おそらくブルックナーはこの作品を自分の耳で聞く機会はなかったのではないかと考えられます。
また、シャルクやレーヴェによる演奏も、いつものごとく大幅なカットや改訂が行われていたようです。
その様な不幸な生い立ちがこの作品のポピュラリティを引き下げる要因となったかもしれません。
冒頭の「ブルックナーの霧」が晴れると目の前に巨大なアルプスの山塊がそびえ立つような音楽は、最もブルックナーらしい音楽といえるかもしれません。また、第1楽章も第2楽章もアダージョというのはそう言うブルックナーらしさをより一段と強調しています。
そして、何よりも最終楽章のフィナーレはブルックナー自身が「コラール」と名付けているように、雄大かつ荘厳、壮麗な音楽です。
この長大な音楽を聞き続けてきたものにとって、この最後の場面で繰り広げられる音楽こそは、ブルックナーを聞く最大の喜びだといえます。
<追記>
ある方からメールので以下のようなご指摘をいただきました。
「こんにちは。いつも楽しく聴かせていただいています。Thanks a lot!
ブルックナーのファンとしてひとつ気になったのが、5番の解説で"1楽章も2楽章もアダージョ"と書かれているところです。ご承知のように1楽章はアダージョの序奏を持つアレグロの楽章で、2楽章とは通常のシンフォニーと同じように急ー緩の対比があると思います。1楽章と4楽章が共通のアダージョの序奏を持っていること、4楽章の2重フーガで1楽章のアレグロの楽想が帰ってくるところ、などがこの交響曲を特徴付けていると思うのですが?」
まったくその通りです。
感謝!!
フィナーレを目指してうごめく有機物
ブルックナーの音楽はフィナーレがきまらなければ実につまらないものになってしまいます。このフィナーレを目指してどのようにして音楽を組み立てていくのかが指揮者の腕だといえます。
誤解を恐れずに言えば、そのやり方は二つに分けられるようです。
一つはヴァントになどに代表されるタイプで、ひたすらブルックナーの指示を信じて、丹念に一つずつの音楽を建築物のように積み上げていき、気がつけば最後に壮麗なる建築物が仕上がっていたというやり方です。
もう一つは、ブルックナーなんて神格化する人がいるけれど、しょせんは後期ロマン派の一人だよと割り切って、壮麗な音楽ドラマとして演じきるタイプです。代表はこのフルトヴェングラーであり、新しいところではテンシュテットあたりでしょう。
ブルックナーファンには毛嫌いされるタイプですが、聞き始めると結局は最後まで聞かされてしまいます。前者のタイプは指揮者がヘボだと途中で聞き続けるのが苦痛になるのですが、後者のタイプは「違うだろう!」と思いつつ最後まで聞かされてしまうので、これは実に不思議なことです。
ここで聞けるフルトヴェングラーの演奏は、ブルックナーファンにとっては最も忌み嫌うタイプの演奏でしょう。まさにフィナーレを目指して意志あるもののようにうごめく有機物のような演奏です。それでも、一度聞き始めると途中でやめられなくなるという不思議で危険な演奏です。
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