クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)

(Vn)ジャック・ティボー (P)アルフレッド・コルトー 1929年5月28日録音(Jacques Thibaud:(P)Alfred Cortot Recorded on May 28, 1929)





Franck:ヴァイオリンソナタ「第1楽章」

Franck:ヴァイオリンソナタ「第2楽章」

Franck:ヴァイオリンソナタ「第3楽章」

Franck:ヴァイオリンソナタ「第4楽章」


ヴァイオリンソナタという形式は不思議な形式です。

 もとはヴァイオリン助奏付きのピアノソナタと言った方がいいようなスタイルでした。
 しかし、ヴァイオリンが楽器としても完成され、さらに演奏者の能力も高まるにつれて、次第に二つの楽器が対等にわたりあえるようになっていきます。

 この移り変わりは、モーツァルトの一連のヴァイオリンソナタを聞いていくとよく分かります。
 初期の作品はヴァイオリンはおずおずとピアノに寄り添うだけだったのが、後期の作品になると二つの楽器が対等に自己主張をするようになり素晴らしい世界を展開してくれます。

 ベートーベンはヴァイオリンが持つ表現力をさらに押し広げ、時にはヴァイオリンがピアノを従えて素晴らしい妙技を展開するようになります。
 ヴァイオリンが自己主張する傾向はロマン派になるとさらに押し進められ、ここで聞けるフランクのヴァイオリンソナタはその頂点をなすものの一つです。

 それにしても、これほどまでにロマン派らしいヴァイオリンソナタが他にあるでしょうか!まさに、ヴァイオリンという楽器の持つ妖艶な魅力をいかんなく振りまいています。
 
 もともとユング君はこのような室内楽のジャンルはあまりにも渋すぎてどうも苦手でした。
 でも、初めてフランクのヴァイオリンソナタを聞いたときは、「室内楽は渋いなんて誰が言ったの?」という感じでたちまち大好きになってしまいました。
 誰だったでしょうか、この曲を聞くと、匂い立つような貴婦人が風に吹かれて浜辺に立っている姿がイメージされると言った人がいました。
 まさにその通りです。

 「どうも私は室内楽は苦手だ!」と言う方がいましたらぜひ一度お聞きください。
 そんな先入観なんかは吹っ飛ばしてくれることだけは保証します。

こんなにステキなポルタメントは聞けなくなりました。


あまりこういう言い方は好きではないのですが、これをこえるようなフランクのヴァイオリンソナタは思い浮かびません。この演奏の特徴は何と言ってもステキなポルタメント奏法にあります。今では「時代遅れ」のレッテルを貼られてこんな弾き方をする人は絶滅に瀕しているようです。確かに、下手がやると「下品」そのものになってしまうポルタメント奏法ですが、ティボーの手に掛かると何と上品で粋に聞こえることでしょう。
おそらくは、ポルタメントが廃れたのは、ポルタメントそのものが時代遅れになったのではなくて、ティボーのように弾ける人がいなくなったからでしょう。バリバリとマシーンのように弾きこなす超絶技巧のヴァイオリンよりは、こういう粋で上品で味の濃い音楽こそヴァイオリンには相応しいと思うのはユング君だけでしょうか。

なお、録音は1929年という事で、「超絶的」に古いのですが、SP盤による録音がいかにすぐれたものだったのかを再認識させてくれるだけの素晴らしさを持っています。必聴の一枚です!!

よせられたコメント

2008-10-27:亜季


2013-08-06:カンソウ人


2019-04-03:bonchichi


2024-04-03:ハゲさんの毎朝


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-11-24]

ブラームス:交響曲第4番 ホ短調, Op.98(Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

[2024-11-21]

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)

[2024-11-19]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)

[2024-11-17]

フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)

[2024-11-15]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-11-13]

ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)

[2024-11-11]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)

[2024-11-09]

ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2024-11-07]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)

[2024-11-04]

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

?>