クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ショパン:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.8

オイストラフ・トリオ(オイストラフ、オボーリン、クヌシェヴィツキー) 1950年録音





Chopin:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.8 「第1楽章」

Chopin:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.8 「第2楽章」

Chopin:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.8 「第3楽章」

Chopin:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.8 「第4楽章」


マイナーな作品ですが、聞いてみると意外と魅力的です。

ショパンのピアノトリオと聞いて、「ああ、あの曲ね・・・。」と思い浮かぶ人はほとんどいないでしょう。おそらくは、「ショパンにピアノトリオなんてあったの?」という人が大部分ではないでしょうか。
そう言う私もショパンの室内楽と言えば晩年のチェロソナタが思い浮かぶくらいで、知識として、若き日の習作レベルの作品としてピアノトリオを書いたらしいと言うことを知っているレベルです。
実際、録音もホントに少ないようです。HMVのサイトへ行ってショパンと検索して、そこから室内楽作品に絞り込んでみると、ひっかかってくるのはほとんどがチェロソナタで、ピアノトリオの録音は数えるほどです。

ところが、この作品、実際に聞いてみるとなかなか魅力的です。
作曲されたのは1828年ですから、ショパン18歳の若書きの作品です。作品は、若きショパンの才能を愛し支援を続けていたポーランド貴族、ラジヴィウ公に献呈されています。
ラジヴィウ公は自宅にショパンを招いて演奏会などを行っていました。この作品は、チョロの名手だったラジヴィウ公とともに演奏を楽しむために作曲をされたようで、ピアノが中心的に活躍するのはショパンなら当然のことですが、弦楽器の方はヴァイオリンよりはチェロの方に重きがおかれています。
雰囲気としてはチェロが音楽全体をしっかりと支えて、その上をコンチェルトのようにピアノが活躍するという風情でしょうか?室内楽としてきちんとあわせようとすると、いささか困難を感じるような部分はあるようですが、まあ室内楽版のピアノコンチェルトと思えば納得がいくような雰囲気です。
第1楽章冒頭の出だしなんぞは、おそらく18歳の青年でないとかけないだろうな・・・と言う青春のせっぱつまったような思いにあふれています。第3楽章のメランコリックな風情も底が浅いと言えば浅いのでしょうが、それもまた青春です。
年食った人間はもう書けない音楽であることは事実で、そう言う「青さ」みたいなものが人間を50年もやっているととてもいとおしく思えたりする音楽です。

それだけに、この作品がこんなにも省みられないのは実に不思議です。

この作品のパブリックドメインは貴重です。


現役盤でもこの作品の録音は結構貴重です。それだけに、パブリックドメインで聞けるというのは実に貴重ですし、それがオイストラフ・トリオによる演奏となれば、これはもう嬉しくなってしまいます。
ただし、演奏の良否について云々できるほどこの作品の演奏を聴いたことがありません。確か、ヨー・ヨー・マがチェロを演奏している録音を聞いたことがある程度だと思うのですが、あれは、何だか特徴のない、ほとんど印象に残らないようなものだったような記憶があります。もっとありていに言えば、聞いてみて何の思いもわき上がってこないような演奏だったわけです。

それと比べると、この演奏は結構アクが強くて、そのアクの強さゆえに青春の澱のようなものもまじえて、何とも言えない青春の「カナシミ」みたいなものが伝わってきます。
なお、録音に関しては、この時代のものとしては「極上」の部類にはいります。

よせられたコメント

【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-12-29]

ドビュッシー:ピアノのために(Debussy:Pour le Piano)
(P)ジーナ・バッカウアー:1964年6月録音(Gina Bachauer:Recorded on June, 1964)

[2025-12-26]

ハイドン:弦楽四重奏曲第58番 ト長調, Op.54, No.1, Hob.3:58(Haydn:String Quartet No.58 in G major, Op.54, No.1, Hob.3:58)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1932年10月6日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 6, 1932)

[2025-12-24]

フォーレ:夜想曲第8番 変ニ長調 作品84-8(Faure:Nocturne No.8 in D-flat major, Op.84 No.8)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2025-12-24]

フォーレ:夜想曲第9番 ロ短調 作品97(Faure:Nocturne No.9 in B minor, Op.97)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2025-12-21]

ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14(Berlioz:Symphonie fantastique in C minor, Op.14)
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 パリ音楽院管弦楽団 1961年2月6日~8日&11日録音(Constantin Silvestri:Orchestre De La Societe Des Concerts Du Conservatoire Recorded on June 6-8&11, 1961)

[2025-12-18]

J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調「ドリア調」 BWV.538(J.S.Bach:Toccata and Fugue in D minor, BWV 538)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 5-8, 1961)

[2025-12-16]

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番変ロ長調, Op.130(Beethoven:String Quartet No.13 in B Flat major Op.130)
ハリウッド弦楽四重奏団:1957年3月23日,31日&4月6日&20日録音(The Hollywood String Quartet:Recorded on March 23, 31 & April 6, 20, 1957)

[2025-12-13]

R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35(Rimsky-Korsakov:Scheherazade, Op.35)
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 ボーンマス交響楽団 (Vn)ジェラルド・ジャーヴィス 1966年12月30-31日(録音(Constantin Silvestri:Bournemouth Symphony Orchestra (Vn)Gerald Jarvis Recorded on Dcember 30-31, 1966)

[2025-12-11]

ベートーヴェン:六重奏曲 変ホ長調, Op.71(Beethoven:Sextet in E-Flat Major, Op.71)
ウィーン・フィルハーモニー木管グループ:1950年録音(Vienna Philharmonic Wind Group:Recorded on 1950)

[2025-12-09]

ベートーベン:交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」作品125(歌唱:ルーマニア語)(Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 "Choral")
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 (S)Emilia (Ms)マルタ・ケスラー、(T)イオン・ピソ (Bass)マリウス・リンツラー (Chorus Master)ヴァシリ・パンテ ジョルジュ・エネスコ・フィル合唱団 (Chorus Master)カロル・リトヴィン ルーマニア放送合唱団 1961年8月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra (S)Emilia Petrescu (Ms)Martha Kessler (T)Ion Piso (Bass)マMarius Rintzler (Chorus Master)Vasile Pintea Corul Filarmonicii "George Enescu”(Chorus Master) arol Litvin Corul Radioteleviziunii Romane Recorded on July, 1961)

?>